惜しまれつつ廃盤の銘品
20/10/10
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また一気に気温が下がって、完璧に重ね着シーズンの到来で、毎日服を着るのが楽しいですね。
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特に今シーズンは個人的にJKT類が豊作で、3枚も追加してしまったので、余計に毎日色々な重ね着が楽しめて余計に楽しいです。
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今回のblogは、そんなJKTスタイルの上から羽織れる、長年ストックマン調布スタイルの定番アウターについてのお話。
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それが、ジョンブルのテトラテックスJKT。
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もう調布ではオープン以来扱っているので
10年近くデザイン変わらず同じモデルを展開してます。お持ちの方もホントに多いモデルですね。
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こちらのモデル、実は残念ながら、昨年の冬をもって廃盤になってしまいました。
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ジョンブル自体でも、もう10年以上は展開してるモデルなので、一区切りしても仕方ないですが、個人的に非常な残念です。
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理由は色々ありますが、1番は生地値の高騰で、同じモノを作ってもプライス面で相当な値上がりを余儀なくされた様です。
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こちらの生地な日本製で、新潟の小松製錬という、業界内でも有名な特殊な生地が作れる、凄く技術レベルの高いメーカーと共作で作った特別な生地で、日本製最高峰の技術と手間隙も掛かったいるので、高騰も仕方ないですが…最近の日本製アイテムには良く聞く話なんです。
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現在¥49,000+税でウチでハイプライスなアイテム。ただ、確かに凄くモノとしてもスペシャルだし、使い勝手も良く、間違い無く値段に見合った(個人的には周りと比べれば安いと思います)良いアイテムですが、プラス2万で¥69,000となったら。日常着としては中々行き過ぎなプライスですね。
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この辺も日本製での物作りの難しい所。材料費も人件費も数年前に比べたら相当上がっています。それを考えれば、生地メーカーも工場も努力しても値上げは品質を維持する為にには仕方なし。
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その状況でメーカーも、良いモノを良いプライスでリリース出来る様に頑張ってます。ただプライスがどうしても維持出来ない位変わってきたのも事実。中々難しいですね。
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でも、この様な日本製品が無くなってしまったら、特に僕らは商売になりませんので、絶やさない様、僕らも日々製品も向き合って努力するのみです。
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本題です。そんなテトラテックスJKT。語り所はホント色々あるのですが、僕が思うコイツの1番の魅力は、その小松製錬と作り上げた表地にありだと思ってるので、今回はそこをフォーカスしてお話ししたいと思います。
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まず、生地の説明からですが、ほぼポリエステル(化学繊維)なんですが、実際表記を見ると、
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ポリエステル 93.8%
指定外繊維 5.8%
ポリウレタン 0.8%
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と、何だか物凄く化学的な配合の生地ですね。特に指定外繊維といのが何とも凄みを増してます。恐らく、ここに他には真似出来ないこの生地の秘密があるのかもしれません。
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そんな化繊生地を超微起毛させた生地です。
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起毛というのは、生地の表面を掻いて、毛を立たせた生地で、ネルシャツやスエットの裏地、ウールコートなどの様なフワッとした表面の生地の事。
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それの超で微なので、毛並みが見えない位の浅く細かな起毛で、しかも化学繊維に用いてる。世界でもこの技術が小松製錬しか出来ない技術なんですね。やっぱり日本製品凄いです。
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これが触るとビックリするのですが、化学繊維とは思えない、滑らかさ。ツルツル、シャカシャカしません。イメージは上質なスウェードのタッチです。
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コレには機能的な理由があって、雨の受けた時に、この細かな起毛のお陰で水滴が浮いて流れ落ちます。あと汚れも付き辛いですね。
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実際僕のがもう10年近く着用してますが、未だに普通の雨程度なら、水滴が玉になって表面に浮いてます。
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もう長年の着用とクリーニングもしてますし、撥水加工で水を弾いてたとしたらとっくに機能していないと思います。
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未だに水が弾くのは生地自体の能力のお陰という証拠にもなりますね。
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しかもこのJKTは、アイテム名にもなってるテトラテックスという防水透湿フイルム内蔵、各縫い目にシームテープも貼ってあるので完全防水ウエア。
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ただ、防水性や機能性を追求すれば、より軽さだったり、動き易さだったり、ギア的要素の向上を求めますが、そこは洋服ブランド、ジョンブル。
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機能面も意識しつつ、質感であったり、纏った時の雰囲気、あくまでも服としての素材に拘りました。
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その結果、化繊であるのに経年変化するという、僕自身も経験の無かった特別な生地が生また訳です。
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そうなんです。この生地の1番凄い所、個人的に着ていて驚いた所なんですが、化繊100%なのに着込むと、まず素材が明らかに柔らかくなって、次第にアタリが出て、オイルドやレザーJKTを着込んだ様なアジが出るんです。
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要は着込む事でこの起毛か潰れて、少し生地が痩せてより柔らかくなって、潰れた箇所が擦れてレザーの様なアタリが現れます。
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写真の最後3枚は、自分が約10年近く愛用しているモノですが、写真だと非常に伝わり辛いですが、全体的に色が少し明るくなって、手首部分ですが、擦れて少しテカリが出てると思います。
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ただの色褪せとかとは違う、良いアジが出ています。それにまだしっかり水も弾いております。
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この位のツラになってくると、もう機能服の側面は影を潜めて、個人的にはBarbourなんかと同等の素材のオーラを感じます。
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当初恐らく、防水、防汚対策としての超微起毛でしたが、結果経年変化する化繊生地という側面も生みました。必然か偶然か…。
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ヤバい…止まらなくなってきましたね…そろそろ纏めてます。
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このJKTはアイテム名が示すとおり、テトラテックスという機能面がフューチャーされがちですが、間違い無く小松製錬と作り上げたこの表地にこそ魅力があって、購入して頂いた方もファーストインパクト、この生地感にやられた方も多いと思います。
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そんなアイテムも廃盤…。非常に残念で仕方ないですが、仕方ないです。
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でも、JBさんにあった最後の在庫はウチの会社で全て押さました!なので、オリーブ、ネイビー、ブラックの人気カラーに関しては今シーズンは十分ご紹介出来る量は確保しております。
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しかも、今までの長年と取り組みと、最後という事でメーカーが協力してくれ、少しお得にご紹介も出来る事になりました。
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これの件に関しては、店頭では大々的には行わず、このブログのみの告知、あとは店頭での対応とさせて頂きたいと思います。
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メーカー自身もその様な事はしてないのと、今まで買って頂いた沢山の方々もおりますので。
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今まで買って頂きました皆様、申し訳ありません。でも、このJKTを少しでも多くの方に試して頂きたい思いもあって、少しだけ後押しなやなったらと思いました。
あと、最後だしね。というのもあります。
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今後もアイテムのケアの方も、僕らとして出来る限り対応させて頂きたいとは思っています。
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すいません…。今回も思いが溢れて過ぎて抜群に長くなってしまいました。
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ただ僕にとっては特別なJKTで、実は社内でも僕だけBarbourのビデイルを持っていないのですが、多分このテトラのオリーブがあるので中々なのだと思います。
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その位この生地には特別な思いがあり、歴史のあるクラシックな天然素材にも引けを取らず、機能面、デザイン面で着てしまったら生活にも良くて、とにかく何が言いたいかと言うと、銘品だという事。
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ただの先鋭的なデザインされた服では無くて、どの側面から見ても良い服だと思うので、是非ライトアウターをお持ちで無い方、皆さんにオススメしたいアイテムという訳です。
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結果締めも長くてすいません。
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それでは、また。今週も重ね着を楽しみましょう。
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ストックマンマーケット調布 伊藤